原田さんのうつわの紋様には、それぞれ意味があります。
意味は知らずに、花鳥画のように愉しんでいただけたらというお気持ちも
おありですが、知ったら知ったで愉しさもあるかと少しご紹介いたします。
卵、カーネーション、つがいの鳩、髑髏、なつめやしろ

中央の楕円 卵 誕生、幼年期
見込み縁 カーネーション 求愛、婚約
髑髏の上 つがいの鳩 結婚、成熟
髑髏 老年期、死
リム なつめやしろ 古代ローマより勝利の象徴で、キリスト教では死に
対する永遠の生命の勝利に結び付けられる。
すべてがぐるぐると繰り返されているようで、意味を教えていただいたときに
はっとしました。一生の姿がうつわに凝縮されているのかと思うと
感慨深いものがあります。
ペリカン、アネモネ

ペリカンは中世の動物話集の中で自身の胸を突き、その血で雛を再生させ
育て救うことができるとされ、イエスの自己犠牲の類比とみられた。
3枚の大きな花弁からアネモネは三位一体の象徴とされ、花弁にある赤い斑点は
十字架でのイエスの血の滴りを表しているとされた。
ヒバリ、オリーブ

ヒバリは空高く舞い、天に向かってのみさえずることから善き聖職者、
または善き知らせの象徴。
オリーブはギリシャ・ローマ時代から平和・勝利の象徴とされ、
それがキリスト教世界にも引き継がれたとされる。
オダマキ、蜂

オダマキは花の形が飛翔する鳩を思わせることから「聖霊」を象徴し、
花が7つある場合は聖霊の7つの賜物の象徴で、生まれながらにその7つの
賜物を持つイエス、及び聖母マリアの7つの悲しみも象徴する。
ライオン、蜂、蝶、卵、雲、林檎、月桂樹、30枚の銀貨

ライオンは古来、死んで生まれても親ライオンが息を吹きかけると三日後に
生き返るといわれることからイエスの復活とその前の受難に対する勝利に
結び付けられる。
蝶は、その一生が「毛虫→さなぎ→空に飛び立つ蝶」へと移り変わることから
これを生・死・復活の過程になぞられ、卵も殻の中に生命を宿しそこから
新たな生命が現れることから、ともにイエス復活の象徴とされる。
雲は目に見える「天・神」を示し、足元の林檎は受難に対しての原罪の克服を、
月桂樹は古代から「勝利・不滅・純潔」の象徴とされ、それゆえ「信仰の勝利、
死と罪に対してのイエスの勝利」を30枚の銀貨はローマ軍にイエスを売った
イスカリオテのユダの持ち物とされている。
原田さんがご用意くださった紋様の解説もあわせて展示しています。
どうぞご覧ください。
原田譲展は、7日(月)17時までです。
(T)